このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
俳 書
『初便』(知方編)
元禄15年(1702年)春、朱拙序。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
元禄15年(1702年)1月、
惟然
跋。 |
花は | ||
風羅老子 | ||
聲よくは諷ふものをさくらちる | ||
五老井彼岸さくらのさかりに | ||
近江彦根 | ||
團子の名に彼岸をわたす櫻哉 |
許六
| |
伊賀 | ||
うきついて花の香のする男哉 | 猿雖 | |
おなしく | ||
朝酒のそれはことなる花こゝろ |
土芳
| |
さらに劉怜か鋤もたのましなと興して | ||
大津僧 | ||
醉死ぬ先から花の埋ミけり |
丈艸
| |
一季半季の奉公いかにいそかしき浮世にや | ||
江戸 | ||
請状の隙を一日花見かな | 利牛 | |
筑前穂波 | ||
出替りのまたしまらすに花見哉 | 助然 | |
豊後日田 | ||
葉の底に花を殘して麥の雨 | 野紅 | |
四方郎とあつまのかたの遊吟あらかしめちき | ||
りて | ||
京 | ||
月花や共に四方のこゝろさし | 風國 | |
江戸 | ||
十六夜や人も四十は花の老 |
史邦
| |
江戸 | ||
そろそろと花の盛や女かち |
杉風
| |
豊後日田 | ||
此あたり山おもしろや花はまた | 里仙 | |
十歳の叟百歳の童われらこときは風月の喰ひ | ||
たはれ | ||
豊後日田 | ||
月花の髭男とはいはれたし | 朱拙 | |
大津尼 | ||
我としのよるとはしらす花盛 | 智月 | |
伊賀上野 | ||
花有て蝶も徃て來る柴の門 |
卓袋
| |
大坂 | ||
花に寢てつかまるゝ迄蝶の夢 |
之道
| |
豊後日田婦 | ||
梅か香やのそきたけれと人の中 | 倫 | |
ミノ大垣 | ||
梅か香にひらくや兒の折手本 |
千川
| |
膳所 | ||
梅かゝや明つひろけつ破障子 |
正秀
| |
筑前嘉磨 | ||
梅かゝや酢蓋は明て有なから | 知方 | |
尾州ナコヤ | ||
梅かゝのあつまり兼て夜は寒し |
露川
| |
鳥は | ||
加州金沢 | ||
鶯のまたれて啼や日一日 |
北枝
| |
大津 | ||
鶯やそはに目白も啼たかほ | 乙州 | |
ミノ僧 | ||
あかりては下り明ては夕雲雀 |
支考
| |
三州新城 | ||
ない袖はふられぬ野鷄(キシ)の舞羽哉 | 桃先 | |
ミノ | ||
八専も照りて仕廻や時鳥 |
文鳥
| |
江戸 | ||
蜀公あとには聲の崩れけり | 孤屋 | |
おなしく | ||
三日月の影飛けすや時鳥 |
曾良
| |
江戸 | ||
町中や徃來覺て鶸小雀 |
野坡
| |
月は | ||
京 | ||
朧ても月に何にもあらはこそ |
惟然
| |
長崎へ遊吟する比筑後柳川に汐を待て | ||
筑前直方 | ||
名月や二階の下は何處の人 | 一定 | |
草むすふ戸を乘出すや月の客 |
丈艸
| |
いさよひや北に黒ミのつき初る |
許六
| |
雪は | ||
ミノ大垣 | ||
初雪やうゝうといふは老の常 |
荊口
| |
初雪や塀直さんといひくらし |
野坡
| |
近江平田 | ||
新宅や大工のとまる夜の雪 |
李由
| |
月雪や列(ツレ)は知識に成果ぬ |
丈艸
| |
木は | ||
江戸 | ||
木のまたのあてやかなりし柳かな |
凡兆
| |
ミノ | ||
我足に川の音きくやなき哉 |
此筋
| |
軒口を出るや柳の一せこし |
野坡
| |
草は | ||
しら川にて | ||
若芝にはや寢たくみや高封疆(トント) |
惟然
| |
あきかせ | ||
七月や地獄の釜も秋の風 |
許六
| |
溟々に吟身こちけたるものは白氏の秋より猶 | ||
まさりて | ||
秋立や草臥者に風のをと | 一定
| |
雨は | ||
越中 | ||
落さふな雲の茂ミや時雨先 | 浪化 | |
よ所に名の立
唐崎の松
| ||
時雨やありし厠の一つ松 |
其角
| |
けたものは | ||
尾州 | ||
朝露や畠によこす鹿の角 | 素覧 | |
虫は | ||
大津 | ||
きりきりす啼や背中を負ふことく |
尚白
| |
雨水をすゝりあきてや虫の聲 |
丈艸
| |
嘉辰靈霄は | ||
京 | ||
老の身に青みくはゆる若な哉 |
去來
| |
サカ | ||
野櫻の花見かてらや雛見舞 | 野明 | |
稲妻にしのひくらへよ星の宿 |
野坡
| |
衣服は | ||
口ほとに五人くらすや衣かへ |
野坡
| |
大坂 | ||
一日て花に久しき袷かな |
佛兄
| |
浪々を訪ふ人に申つかはしける | ||
金二兩光り過たり紙子代 |
史邦
| |
農事は | ||
猪の靜な年や粟はたけ |
丈艸
| |
四序の寒暑は | ||
餞 別 | ||
瓢箪の水の粉ちらす別哉 |
丈艸
| |
すゝみする中チを見らるゝ凉み哉 |
野坡
| |
火燵からおもへは遠し硯紙 |
沙明
| |
聳ものは | ||
おらもはや霞む知る人もゝすかち |
惟然
| |
四時の終は | ||
行秋や梢にかゝる鋤(カンナ)屑 |
丈艸
| |
筑前直方にて | ||
行秋や花にふくるゝ旅衣 |
去來
| |
清女の文にならひて | ||
我かほて干鮭賣のさし出けり |
野坡
|
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |