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俳 書
『後の旅』(如行編)
朝霜や夜着にちゞみしそれもみず | 如行 |
七日七日のかぶら大根 | 荊口
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垂井 | |
今からは雪見にころぶ人は誰 |
規外
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一とせ芭蕉翁、予が寓舎にて、「
雪見にころ
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ぶ」
の句高吟あり。 | |
尾陽 | |
初雪は翁の墳も降たるか | 夕道 |
初月忌 | |
尾張 | |
この月もおもひやくぜる鶯子 |
露川
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三十五日 | |
仝 | |
一歌仙匂ひの花を袖の霜 | 素覧 |
百ヶ日 | |
仝 | |
弦月の明ては梅になみだ哉 | 巴丈 |
いくしきり時雨て行や経の内 | 游刀 |
河はあせ山は枯木の涙かな | 史邦
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奥州須賀川 | |
迚も死ぬ身なら難波の枯野哉 |
等躬
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翁百ヶ日懐旧 | ||
墨の梅はるやむかしの昔かな |
其角
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つかみ豆腐にうかす青海苔 |
桃隣
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小刀を嗅(※「鼻」+「臭」)で置たも長閑にて | 嵐雪 | |
百ヶ日会行 | ||
先年越より拾ひきて分おかれし、手もとのし | ||
たはしく | ||
梅が香にさがす真蘇枋<マスウ>の小貝哉 |
荊口
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冬のいたみを残す蕗の芽 | 斜嶺 | |
春の道鴈木の杭のぬけ出て | 如行 | |
百箇日興行 | ||
青柳にさらぬ古枝や百ヶ日 | 千川 | |
其涸池の芦は角組 | 桃隣
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鶯に三分坪の地をしめて | 其角 | |
題梅懐旧句 | ||
坊主衆なを(ほ)り所や梅のはな | 斜嶺 | |
駕<ノリモノ>や棒のつかゆる塚のむめ | 竹戸 | |
ちる梅の一倍かなし百ヶ日 | 規外 | |
立よるや肩衣かくる塚の梅 | 林紅 | |
亡人 | ||
二親のきれほど梅に悔けり | 寸木 | |
百ヶ日懐旧 | ||
僧 | ||
くどくどとおもへば悲しよるの梅 |
支考
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「
のつと日の出る山路哉
」と有しもなつかし | ||
くて | ||
大坂 | ||
梅が香に日は入にけり塚の石 | 舎羅 | |
百ヶ日 | ||
花鳥や絵毎にとはず物語 |
桃隣
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ミノ | ||
芦の香や古人を慕水の末 |
此筋
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「
春もやゝけしきとゝのふ
」と申残さ | ||
れし句意を味へ侍て | ||
此梅を遥に月のにほひかな |
嵐雪
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春風も西へ西へと百ヶ日 | 乙州 | |
尼 | ||
粟津野に通ひかゝりて百ヶ日 | 智月 | |
芭蕉翁百ヶ日於
義仲寺
興行 | ||
ゆかしさをまねき合たる柳哉 |
正秀
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燕の墓をめぐるや人の透 |
曲翠
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芭蕉翁遷化のゝち、伯父老祖父(おほぢ)身ま | ||
かりて愁情うちつゞきぬ。今年正月廿三日 | ||
は先師百ヶ日の忌に当る。仍五老井にお | ||
ゐ(い)て門人捧句(くをささぐ) | ||
彦根 | ||
青柳や跡からふへ(え)る塚の数 |
許六
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百日はこらへてつぼむ梅花哉 |
李由
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翁の身まかりたまひしあくる年の春、
義仲寺
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へ詣て | ||
石塔もはや苔づくや春の雨 |
去来
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伊賀 | ||
朧さも夜毎にうとし椽(えん)柱 | 猿雖 | |
同 | ||
上下の庵の往来や朧月 |
卓袋
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同 | ||
わすれてもならぬ歎や月と梅 |
土芳
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みのゝ杭瀬のあたりは、芭蕉翁行脚の | ||
はじめより逍遥の地にして、門人其俤 | ||
をおぼえひかりを残して、これを験(シル | ||
シ)にあら垣をむすび、石の牌をす | ||
え(ゑ)たり。必斧を入て方円をかたどら | ||
ず、を(お)のが野面のまゝなるに、金 | ||
泥けづりなす「芭蕉」の文字のあだなら | ||
ぬ、いとたふとし。 | ||
湖上三井麓 | ||
かげろふや石の野面に文字の箔 |
路通
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無名庵にて別
丈艸
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京 | ||
鶯に又来て寐ばや窓の際 |
惟然
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出しぬいて来れば咲たつ野梅哉 | 千川 | |
うぐひすの声の下なる湯殿哉 |
荊口
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うぐひすや啼ては跡をうちしまり | 文鳥 | |
元禄四年の初冬、茅屋に芭蕉翁をまねきて | ||
もらぬほどけふは時雨よ草の屋根 | 斜嶺 | |
火をうつ声にふゆのうぐひす |
如行
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一年の仕事は麦におさまりて | 芭蕉 | |
垣ゆふ舟をさし廻すなり |
荊口
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打連れて弓射に出る有明に | 文鳥 | |
山雀籠を提(さげ)る小坊主 | 此筋 |
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