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今泉恒丸
『続埋木』
寛政10年(1798年)、会津、江戸、名古屋を経て大坂まで旅をした折の記念集。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
寛政11年(1799年)、刊行。 |
蓮のさくはヅミにうつる嚏かな |
成美
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石にからりと春せミの殻 | 恒丸 |
たちばなの香もあればある時雨哉 |
可都里
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松の月夜も冬になり行 | 恒丸 |
膝立て寝れば燕のかえり来て | 岱青 |
さらりのかわるけふのもの好 |
士朗
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笹竹に赤土やまをすかすらん | 方明 |
瓜のこやしの芥焼なり |
岳輅
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旅人の走りぬけたる馬の蝿 | 恒丸 |
続埋木員外 | ||
歳旦 早春 | ||
侘つくしつくしてぞ花の春 | 尾張 |
士朗 |
初がらす汐くミそめる浦の人 | 仙台 |
雄渕
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年寄も家のかざりよけさの春 | 尾張 |
岳輅
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旅人も来よ元日の草のいほ | ゝ | 羅城 |
世を捨し人も起出る初日哉 | 尾張 | 松兄 |
世の春をおのれがましや海老の髭 | 行脚 |
空阿
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はつ夢や思ふことミな草まくら | 甲斐 |
漫々
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鷄の色のどけき色のはじめ哉 | 備後 |
若翁
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正月の灯ひかるや浦の家 | 大坂 | 升六 |
霞 | ||
かすまねバならぬけしきを夕也 | 江戸 |
葛三
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かすむ日や佛のあかし遅なはる | 江戸 |
巣兆
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鶯 | ||
うぐひすやひとり深谷の松に啼 | 伊豫 |
樗堂
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鶯や海に高音をなきおろす | 京 |
丈左
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尾を立て鶯梅に移りけり | 出羽 |
五明
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うぐひすよ梅くふたほど啼てゆけ | 大坂 | 大江丸 |
鶯の人を見てなく関家かな | 三河 |
卓池
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うぐひすやおのが木魂にさそハるゝ | 大坂 | 夏江 |
白梅に来て啼夜明烏かな | 大坂 | 尺艾 |
そここゝの松にはさまる野梅哉 | 南部 |
一草
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山里はミな梅が香の垣根かな | 伊勢 | 椿堂 |
梅に月扨も大な御庭かな | 仙臺 |
白居
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灯を消して見ゆれバ梅の能夜也 | ゝ |
巣居
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隠れ家や梅匂ふ夜のはしり炭 | 南部 |
素郷
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くらき夜や梅ちりかゝる目のあたり | 信濃 | 柳荘 |
草の戸にゐればとく咲梅の花 | 江戸 | 帰童 |
梅の月そこらこゝらの家もよし | 甲斐 | 蟹守
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人の来て桶茶たてけり暮の梅 | 会津 | 草蘿 |
青柳のゆふべよくくふ毛ぬき哉 | 出羽 | 野松 |
野越する人の後や春のかぜ | 信濃 | 雲帯 |
旭待ツ鳥井のもとや春の水 | 近江 | 祐昌 |
みそつきに日ハくれ初て春の月 | 江戸 |
成美
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春の月汐さす方はけぶりけり | 大坂 |
二柳
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春雨 | ||
春雨のあやめのり越す小浪哉 | 京 | 鹿古 |
蝶 | ||
飛こてふぬるこてふ野ハ人もなし | 江戸 |
午心
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帰る鴈声にハ春のなかりけり | 大坂 | 月居 |
とりあへず伊吹へ向て帰鴈 | 信濃 |
壷伯
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やぶ入 | ||
やぶ入の竃取まけて二月かな | 大坂 | 奇淵 |
雉 | ||
夕雉が恋する草か雉かくし | 江戸 |
長翠
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静さの先へ廻りて雉のこゑ | 加賀 | 斗入 |
我庵ハきゞす守るに似たりけり | 甲斐 |
可都里
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富士を背に桃もたぬ畑ハなかりけり | 江戸 |
春蟻
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山ミれば寒しこなたの初ざくら | 播磨 | 玉屑 |
門口に花のくずるゝ山家かな | 信濃 |
素檗
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草庵 | ||
大方の夜るやあれこむ桜人 | 信濃 |
蕉雨
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起て見る寝て見る桜一木かな | 大坂 | 長斎 |
うちまもる心も舞し夕ざくら | 奥伊達 |
冥々
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ふとん着る夜る迄花ハちりにけり | 信濃 |
鸞岡
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出代や捨に戻りし古枸枝 | 伊勢 | 滄波 |
つゝじ | ||
野ハつゝじ小松の枝も折にけり | 江戸 |
道彦
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鹿の来て乕杖しかむ昼間哉 | 大坂 | 駝岳 |
甲斐が根 | ||
十ヲ斗ひとツに成て春の山 | 行脚 |
嵐外
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花鳥や阿修羅の酒のはかりなき | 近江 |
重厚
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花鳥の影ゆく春の日ざし哉 | 武蔵 |
双烏
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秋のこゝろ雲深きかたに通ふ哉 | 奥三春 | 掬明 |
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