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俳 人

千代尼
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各務支考仙石廬元坊 の門人。素園。

 元禄16年(1703年)、加賀国松任町の表具屋福増屋六左衛門の女として生まれる。

 享保6年(1721年)、露川は門人燕説を伴って北越地方を行脚。

池の雪鴨あそべ迚明てあり


 享保6年(1721年)18歳の頃、結婚。

 享保7年(1722年)、夫と子に死別、実家に帰ったといわれている。

   子をうしなひて

蜻蛉釣りけふはどこ迄行た事か


   我子を失ひける時

蜻蛉釣けふハ何處まていつたやら

増補加賀千代尼發句集』

 享保10年(1725年)、京の東本願寺に参詣。伊勢の 中川乙由 を訪ね入門。

   対加陽千代女
  麦林
国の名の笠に芳ばし花の雪

とを(ほ)き日影も水ぬるむころ
   千代


 享保11年(1726年)、魯九は北陸から陸奥へ旅立つ途中、千代女を訪ねている。

   同松任 千代女を尋て

旅人に落馬なさせそ美人草
   魯九


 享保12年(1727年)4月1日、 里紅 は美濃から越前・加賀・能登・越中に俳諧行脚。

晝顔の行義に夜は痩にけり
   千代女

 瓜の盛を兒の里をり
   里紅

繕りも大工の下手に長ひきて
   若推


 享保17年(1732年)30歳の時、京都で中川乙由に逢う。

   加賀の千代女 に洛にめぐり逢て

九重を一重で歩行(ありく)小百合かな


 寛延2年(1749年)、幾暁は千代女を訪ねた。

   千代婦に対して

風も月もほそき扇に任せけり
   幾暁


 寛延3年(1750年)6月12日、麦浪は小松を出て松任の千代女を訪ねた。

水無月十二日は小松を出て松任に至る。千代女を訪ふに其日は他にあり、机上の硯をたづねて

夕顔やもの読捨た留守の窓
   麦浪

麦浪の旅館を訪ねて

雲の峰見上げて近ふなりにけり
   千代女

『夏の白根』

 宝暦3年(1753年)10月、三井親和の書で梅輦は梅斧と「芭蕉塚」を建立。

蕣やおのが蔓かと蔦に咲

『千ひろの陰』

 宝暦4年(1754年)10月、出家して素園と号した。

   尼になりし時

髪を結ふ手の隙明て巨(炬)燵哉


既白は素園尼を訪ねている。

   冬日素園尼を訪て

水仙やものにそまらぬはなごゝろ
   既白

 見え透まゝに冬の枝折戸
   素園尼

よめかねる事を使に問あてゝ
   ゝ


 宝暦9年(1759年)、 既白 の奥羽行脚を送る。

既白法師あづまのかたへおもむき給ふをことふきて、

若草や帰り路はその花に待
   素園

 宝暦10年(1760年)9月、千代尼は越中 井波御坊 の親鸞上人五百回忌法要に参詣。

 宝暦13年(1763年)8月、61歳まで詠んできた句の中から21句を厳選して幕府に納めた。



 明和元年(1764年)、 『千代尼句集』 (既白編)刊。藤松因序・半化 闌更 跋。

 明和6年(1769年)4月15日、 田中千梅 は江戸深川で没。享年84歳。千代尼は追悼の句を寄せている。

   いたみ
加賀松任
かなしからんその夏の日のゆきあたり
  千代尼

『なつぼうず』

 明和8年(1771年)、 加舎白雄 は北陸行脚の途上、加賀の千代尼を訪れている。

其名芳しき千代尼を訪ふ。長途いたわりもてなしせき也。殊さら病中のもどかしかりけんと思ふものから

、    薬はさまし心づくしを蚊遣り種


安永4年(1775年)9月8日、没。

 天明2年(1782年)、 田上菊舎 は千代尼の跡を訪ねている。

松任なる千代尼の跡を訪ふに、白烏といへるぬし出逢て、千代尼在世の事抔物語一夜舎りぬ。

   花見せる心にそよげ夏木立

   破れし蚊帳に移る月影   白烏


 寛政11年(1799年)、二十五回忌に 千代尼塚 建立。



辞世 月も見て我はこの世をかしく哉 千代尼塚

 文化8年(1811年)、金沢の 念西寺 に千代尼塚建立。



 文化12年(1815年)、千代尼塚標石建立。


千代尼塚在此境内

百なりやつるひとすじの心より

松島の 雄島 に千代女の句碑がある。



多満佐礼亭幾亭月遠見千松嶋
(だまされて来て月を見千松嶋)

埼玉県本庄市の 本庄市立図書館 の標柱に加賀千代女の句が刻まれている。



朝顔に釣瓶とられて貰ひ水

石川県白山市の 松任ふるさと館 に千代女の句碑がある。


   

朝顔やつるへとられてもらひ水
   
紫陽花に雫あつめて朝日かな

白山市の 「蓮如の松」 にある道標に千代尼の句が刻まれている。


うら道のよきことふたつ清水かな

愛知県犬山市の 尾張冨士大宮浅間神社 に千代女の句碑がある。



朝顔につるべとられてもらひ水

大阪府吹田市の 千里南公園 に千代女の句碑がある。



あさがほに釣瓶とられてもらひ水

千代尼の句

けふはかり背高からはや煤拂ひ


雪のある松に聞すな風の音


涼風やたもとにしめて寝入まて


松の葉もよみ尽すほど涼けり


三吉野や与所の春程かへり花


十六夜や今あそこにて見える雁


夜に入そうな雲雀哉


眼をふさぐ道もわすれて山ざくら


初しくれ水にしむほと降にけり


ころぶ人を笑ふて転ぶ雪見哉


落鮎や日に日に水のおそろしき


初しくれ京にはぬれす瀬田の橋


水仙やよくよく冬にうまれつき


落鮎や日に日に水のおそろしき

秋立やきのふのむかし有のまゝ


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