このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


宝鋼甲種の記録


平成15年(2003年)6月3日、愛知県豊川市にある日本車両の工場から、
中国の上海宝山鉄鋼所向け輸出ディーゼル機関車の甲種があるという情報を聞きつけ、
写真を撮りに行ってきました。
(「“甲種”ってなんやねん?」という鉄ちゃんでない方のために、あとで説明しますね)
 
JR線を使っての輸送ルートは、豊川→(飯田線)→豊橋→(東海道本線)→笠寺で、
以下、名古屋臨海鉄道に引き継ぎでした。
 
当初の予定では、豊橋駅の長時間停車で撮ったあと、幸田駅の長時間停車を利用して追いかけて笠寺駅で撮影のつもりでしたが、
当日は、福知山線で『トワイライトエクスプレス』の団臨が運転されるというダブルブッキングが発生!
まずは地元大阪でトワイを撮影し、その後新幹線で名古屋へ移動というタイトなスケジュールとなってしまいました。
そのため、豊橋駅での撮影は断念し、名古屋臨海鉄道への引き継ぎ駅である笠寺駅のみで撮影しました。
以下、当日の写真をご紹介します。
 

JRのDE10型ディーゼル機関車に牽引されて笠寺駅に入線する、
上海宝山鉄鋼所向けのディーゼル機関車です。
 
当日輸送された機関車は2両でした。
 
ボディーのライトブルーが鮮やかなカマです。
 
車両のナンバーは601と602でした。
ナンバープレートの下の方には、宝山鉄鋼所のプレートと、
日本車両のメーカーズプレートが取り付けられています。
 
笠寺駅でDE10を切り離し、反対側に名古屋臨海鉄道のND55型ディーゼル機関車を連結して、
積み出し港の名古屋港へ向かって行きました。
 
日本で製造された外国向け輸出鉄道車両は多く、世界各国で活躍していますが、
中国向けの輸出は珍しいのではないでしょうか?
鉄鋼所内の専用線用機関車という、一般人の目になかなか触れない地味なカマではありますが、
貴重な記録になったと思います。
 
 
さて、実は私、2002年5月に訪中の際、このカマの輸出先である上海の宝山鉄鋼所の横を車で通りました。
その時、専用線と思われる所の横を通ったのですが、
鉄鋼所の塀の中から一筋の煙が立ち昇っていました。
ほぼ間違いなくSLの煙だと思います。
 
中国の鉄鋼所や工場などの敷地内にある専用線では、風前の灯となりながらも、今でも現役のSLが活躍しています。
しかし、今回のように専用線用ディーゼル機関車が順次導入されていきSLが淘汰されていくと思うと、
この日の帰り道は少し寂しい気分になってしまいました。
 
 
 
☆番外編:「甲種」って何?
 
 鉄道の車両というのは、当然の事ながらメーカーの車両工場で製造されるのですが、完成した車両をメーカーから鉄道会社へ送るとき、JRなどの鉄道路線を使って輸送することを「甲種鉄道車両輸送」略して「甲種」といいます。
 
 比較的近距離の輸送には、真夜中にトレーラーを使って陸送します。大阪の千里や豊中あたりで、神戸方面から摂津市の鳥飼基地に陸送される新幹線の車両を見てびっくりされた方もおられると思います。
 
 長距離の車両輸送は、船便か甲種輸送によって行われます。
 
 甲種輸送は、車両工場で完成した車両の前に機関車を連結して、渡り線という連絡線を使ってJRなどの本線に引き出し、甲種輸送用の列車ダイヤで各地へ輸送されます。おもしろいのは、甲種輸送中の車両は貨物扱いなので、自走できる電車や機関車も、すべて機関車に牽引されて輸送されます。
 
 長距離輸送なので、新潟で山手線用の車両とか、大阪で秋田新幹線「こまち」用の車両などなど…甲種で輸送されるのは、普段地元では見ることができない車両がほとんどです。それゆえ鉄道マニアに人気があり、甲種が運転される日には、その沿線でたくさんの人々がカメラを持って待ち構えています。
JRのDE10型ディーゼル機関車に牽引されて走行中の甲種です。
後ろの車輌は・・・?
上の写真からの続きです。
甲種で輸送される秋田新幹線「こまち」用E3系車両です。
場所は新大阪駅近くの北方貨物線です。
 
 
 

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