☆『緑皮車』、その理由は?
10年程前までは、中国の客車といえば『緑皮車』と呼ばれる深緑色ベースの塗装を施した車両というのが当たり前でしたが、最近は特快列車を中心に、白いボディーに青と赤のラインが入った塗装の車両や、ライトグレーのボディーに赤のラインが入った塗装の車両など、ちょっと垢抜けた色使いの車両が多くなっています。
恐らく、というよりもちろん、このような塗装変更は、優等列車のイメージアップや一般の普通列車との差別化であろうというのは簡単に想像できるのですが、はて、中国の車両はどうして緑色の塗装だったのでしょうか?
ここからは(も?)私の推測なので、残念ながらはっきり「こうだ!」とは言えないのですが…。
中国の車両に使われている深緑色をはじめとする緑系の色は、世界各国の陸軍では保護色とされているようで、戦車や戦闘ヘリに多く使われています。鉄道というのは、沿岸地域での船による海運と共に、陸上では大量輸送が可能な交通機関として、平時はもちろん、有事においても大変重宝されます。中国でも、鉄道はもともと軍事施設の一つとして建設されたと仮定すれば、機関車や客車を緑色に塗ったのも納得がいきます。
書きながら思い出しましたが、昔、某放送局で放送された「シルクロード」という番組(最近再放送されてました)の中で建設中の鉄道が紹介された時、確か、建設に携わっているのは人民解放軍の鉄道部隊だと解説されていたように思います。これが確かならば、私の想像もあながちハズレでもないかもしれません。
さて、次々と新塗装の車両が登場する中で、オリジナルカラーである『緑皮車』を見なくなったとお嘆き(?)のみなさん、確かに、我々旅行者は優等列車に乗る機会が多く、緑色の客車に乗ることも少なくなりましたが、車窓から注意して眺めていると、まだけっこう生息(笑)しているようですよ!
ローカルな普通列車から、たまには長距離列車まで、幅広く使われているようです。春節や国慶節の休暇時期に運転される臨時列車には、まだまだ『緑皮車』が大活躍です。臨時列車では、なかなか客レ運用に入らない機関車とのコラボレーションも稀にあり、このようなイレギュラー運用も見逃せません。
しかし、安心はできません。緑色の客車が徐々に少なくなっているのは事実ですから、特に撮影派鉄ちゃん(俗に言う“撮り鉄”“写鉄”)のみなさん、きちんと記録しておきましょう。日本の旧型客車やボンネット特急などなど…「いつでも撮れる」と思いながら、あっという間に姿を消してしまった、または廃止の直前になって慌てて撮影に走り回ったなどで苦汁をなめた過去を繰り返さないよう(笑)、今のうちからきちんと記録しておきたいものです。